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大阪>シカゴ('94)>シアトル('95~ )
シアトルの夜はグーグー眠る。シアトル在住というくくりだけで、Seattleit(シアトライト・シアトル人)とは呼ばれたくないです。勝手に命名:Nirvaneseと呼んでください。なぜならシアトルは全米で自殺率がトップクラスなんです。哲学者なんですよ、みなさん。なんて洗練された街なんでしょうか。曇りのち雨・お陽さんちょこっとのぼります。
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昨日の続き:アートパーテイが終わってから深夜2時から4時半までのこと。

ロバートが「今日の朝道に花が置かれたあったんだ。誰か死んだんだと思う。ちょっと行ってみる?」ジャーナリストは知りたがり。ジャーナリストは調査員。目の当たりでロバートの仕事振りを知ることになる。ジャーナリストは命がけ。ワタシはちょっとウキウキみたい見たい。

車を降りてチェック開始。場所はCD(セントラル・ディストリクト・危険地帯)私はなにがなんだかわからずとりあえず合掌。目の前の建物に一見男の子かと思うくらいの黒人の女の子が放心状態で突っ立っている。そこにはメッセージボードで故人BIG・MOE(ビッグ・モー)へのメッセージが書かれている。花束のほかに十字架のネックレス・1ドル札3枚・ビール・ヘネシー・葉巻・キャンドル・ミントキャンディ(ついでに私が供えたりんご飴)・ぬいぐるみなど、そして赤のバンダナ。赤は血の色・ギャングスタを象徴するもの。血の跡はビールで流されている。するといきなり背後から黒人女性が「この人知ってる?」って聞いてくる。私とロバートは「しらない」「私の親戚よ」と抜け殻のように女性が語り出す。ああそうでしたか、ご愁傷様でした。

ロバートは女性に自分の身分をきちんと説明してからインタビューに入る。聞き方が上手い。(私もこれから要注意・その手にはのらんで)私も聞いていると、その男性7月13日の深夜未明いきなり道で撃たれたらしい。犯人は車で逃走、いわゆるDrive-by shooting(走行中の車からの発砲)。おばさんの名前はエンジェル。放心状態の彼女も自然とこちらへ来る。彼女の名前はスペシャル。私は「アメリカ人はほんまそういう名前平気でつけるよなあ」って関心してたら、すぐさまロバートは「それはストリートネーム(ギャング)だよね。実名は?」さすが、慣れてる。彼女も実名を言うてしまう。向こうから一人の黒人男性が話しに加わってくる。この男性の名前は「匿名希望Jr.」ということで話しが進む。私は心の中で「X・Jrでええやん」とつっこむ。このJrはロバートのことを知っていてなかなかお喋り好き。見かけは18~23.(黒人もアジア人同様若くみえる)

Jr.によるとこのストリートは夏ともなればギャングスターの間で発砲事件がひどいそうだ。Jr.自身はこの射殺されたビッグ・モーのことは知らないが同じ場所で何ヶ月前に同じような事件があったのだ。もちろんロバートも知っている。私は勝手に「なるへそね。いきなり殺されたから自分が死んだことわかってないねんな、呼んでるな」とぶつぶつ。「ほらここにミスったガンショットの後があるよ」とJr。私は初めて見たガンショットの形跡。ナマナマしい。鉄板をも通り越すすごい威力。Imagine That.その玉が私の体を通過する。こっわ~~~。いきなりなんか腕が痛い。

Jrの話しはまだまだ続く。「この時間ともなればDRIVEーBYが多いんだよ」サーと血の気が引く思い。怖すぎる。さっきからロバートは平気で後ろ向きでインタビューをしてるけど私は走行中の車の人と目何回もあってるし。こっわー。すると一台の車がスローダウンして話しかけてくる。ロバートはまたもやそちらへゆっくりと向かって「彼のことを知ってますか・ぼくは全く知らないので教えてください。どのような人物でしたか?」車の中のおばちゃん2人は「一回チャーチに誘ったらきてくれたよ」と。どうやら私達は打たれなくてすんだらしい。

するとまたもや向こうから黒人男性がやってきて、花束のところでなにやら(くさい)芝居にはいる。片膝立ててのお祈りポーズ。目頭を押さえる。涙はでてない。涙がでるまで無言。酔っ払いで自分の世界。ロバートも一応の演技を見届けた後で話しかける。「彼のことを知ってますか・ぼくは全く知らないので教えてください。どのような人物でしたか?」「He is my G.(ギャングスタ)」「いいやつだったよ。いつも人のこと笑かして、おもしろいヤツだった。」と。私は「そうか陽気な人やったんやなぁ」としみじみ話しを聞く。

するとその男がキャンドルに火をともすからライターを貸してくれというのでライターを貸す。なかなかともさない。私もJrも早くタバコが吸いたいので「はよつけろや」って感じで1分が長い!やっと火をつける。風が強いため火がすぐに消える。その男はムクっと立ち上がって私のライターを握り締めながらフラフラとちょっと早歩き。私は「やっぱり!」とおもったのでJr.に「ライターライター」といって追っかけて取り返すように指示をする。Jr.も素直なヤツでダッシュで取り返しに行く。帰ってきて「なんで俺を送んねん?」とアレ?と軽い笑いが漂う。「だってライターなかったらあんたもタバコ吸われヘンねんで、早く吸いたかってんやろ」と私。

その後も酔っ払い男の熱演は続く。ポイントのない会話がだらだら続いたりするし。「私の主張・私の人生語ります」になってるし。よおそんな酔っ払いの話辛抱強く聞いているなぁって関心。私とJrはお喋りがてら銃の玉通過したところに指をいれながらタバコタイム。Jr「タバコの先になんか変なのつけてないやろうな?」と聞いてくるので「あんた18歳以下じゃないやろうな?」とほのぼの会話。Jrが案の定道にポイ捨てしたので「こらこら!」と注意する私。携帯用灰皿登場。Jrなんか可愛いもんで「こんなの見たことない!かっこいい」と。しばらくして酔っ払い男が目の前のビールにまけて「飲んでやる!」とごくごく。なんか分かってた、ある意味言い訳。最初からそのビールが飲みタかったんやろうって。Jrもその男の行為に唖然。なぜならJrは最初(その男が現れる前)「ビールもお金も取りたいやつはとったらいい。この(道の)ライトが全部その行いを照らして見てるんだ。そんな恥知らずの奴等がここには一杯いるんだよ!」と力説してたので、まさかとるやつがいきなり現れるとはね。あれぇ~。その酔っ払い男が言うには「こんな住みにくい街シアトルなんか御免だよ!俺はこれからニューオリンズに行くんだ!本気だ!アムトラックステーション(電車)にいまから行くんだ!俺は本気だ!」とかいうてるわりには全然逆方向向いてビール飲みながらふらふら歩いていった。ロバートにそのことを言うと「そうなんだよね、全然反対だもんね、さっきの話はなんだったんだってね。」きっと明日もあの辺をうろうろしていることだろうと思われ・・・。

道端インタビューもおわり、皆退散したところでコンドは目の前のガソリンスタンド・コンビニへ向かうロバート。調査は終わってなかった。ロバートの検証は続く。コンビニスタッフ側からのBIG・MOEの人物像についてインタビュー。道はさんでも向こう側の意見とこちら側の意見に少々ずれがある。コンビニスタッフも「いい人でしたよ。でもたまに事件を起こしてました。はい、ドラッグディーラーです。」私があの時しみじみ聞いたたのはなんやってん。あやうく信じそうになったよ。その点ロバートはドロドロの世界を知りまくっている。いろんな人の意見を聞かないと。

そんなこんなで4時ちょいすぎまでインタビュー。帰りの車でさらに危ない地域を通りぬけてかえる。私が見たいと行ったため。かなりの興味本位。「あなたの知らない世界」怖すぎる。こんな時間だというのに女が道端を平気で歩いている。目つきが怪しい。クラックな売春婦Everywhere。なるべく目を合わさないよう(キョロキョロしないよう・首はうごかさないよう)にまっすぐ向いて会話。私は帽子を深く被ってるため目だけが動きまくり。ちらほらギャングスタがドラッグの売買。ダウンタウン到着。ここでもギャングスタがはびこっている。が!しかし!!!ロバートの一言「一体ポリスは何をしてるんだろう?」ほんまや、ポリスの姿が全然みえへん。気付かんかったー。昼間はえらそうに固まってありとあらゆるところでパトロールしるくせに肝心な夜は野放し状態。そうなんSPD(シアトル・ポリス・デパートメント)「眠らない町大都会」のおまわりさんと大違い。一切ポリスの姿形どこにもなし。

「今日はついて着てくれてどうもありがとう。こんな夜に行くべきじゃなかった。一人でいくところじゃない。敢えて刺激しないように通りすがりの車に振り返らなかったけど、ほんまは撃たれるかと思ってちょっと怖かった。迷惑かけたね。」「ほんまやで~。でもええもんみさせてもらったわ。気ぃつけてや。危ない仕事やでほんまにぃ。」これからもまだまだ病院・火葬場・教会・親戚の人・その他いろいろとロバートの調査は続く。が、いくらロバートが調査してコラムを書いたところでロバートのボスがNOと言えば残念ながらこの事件は新聞には載らない。世間の皆は一生知らないこととして終わる。

インタビューされる人はいろいろと聞いてほしい、喋りたい、この怒りを!公の場に訴えかけたい!ノンストップやもんね。話し全然終わらんもん。それでいてロバートはインタビューされる人にとっちゃぁ、あんまり聞かれたくないことも一歩踏み込んで質問せなあかんし、リードしてまとめていかなあかんし。時間かかるわあの仕事は。あっちゃこっちゃ動きまくって、調べまくって。事件は現場から始まって少しでも可能性のある場所あたりつくすもんね。そらいろんなレストラン知ってるはずやわ。ロバートが時間に遅れたり、電話ができなかったりするわけもなんとなく分かった。いつ終わるか分からん仕事。インタビューが全部終わったら終わったで今度は話しを簡潔に皆に分かりやすいように書いていかなあかんし。アイヤイヤー。ほんま剥げるしよぉ食べるわけやね。

明日も生きていてください。カミサマァ~~~。
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